5にん 22

聡 ページ14

聡side

教室入った瞬間からおかしいと思った。なんか雰囲気がおかしくて。
「おはよ」
「ぁ…」

友達にいつも通り挨拶したのに気まずい顔されて、返してくれなかった。
「え？何？なんかした？」
「…っ…でさー、あいつがさー」

俺の方チラッて見て、他の友達と話し始めちゃった。え？無視された？怖くて、惨めで、不安で一日誰とも話せないままだった。なんで…？俺なんかしたっけ？

部活ではクラスメイト以外は普通だったから、先輩とかと喋れたんだけど友達は最後まで喋ってくれなかった。それで、帰り際に言われたんだ。
「よくそんな平気な顔で生きてられんな。親殺したくせに」
衝撃すぎて、鈍器で頭殴られたみたいで、何も言えずに立ち尽くすしかなかった。

バレた…もう学校行けないよ。みんな知ってんだ。みんな、俺の親のこと知ってるんだ…っ！！怖すぎて、めちゃくちゃ走って家に着いた。

「はぁっ…はぁっ」
「聡？おかえり。どうしたの？そんなに息切らして」
「はぁっはぁぁっ！たっ、だいま…」
健人くんが心配そうな顔で見てくるから、言いたくなったけど言えなかった。

俺が初めて知って以来、健人くんと親の話はしたことなかった。なぜかできなかった。だから誤魔化しちゃったんだ。
「別にっなんでもない！ご飯何？」
「…肉じゃがだよ。手洗って着替えておいで」

そっと頭撫でられて言われたから、逃げるみたいに駆け上がって自分の部屋で必死で考えた。なんでバレたっ！後2年以上高校行かなきゃなのに！なんでっ！！不安でたまらなくて、ゆっくり着替えたけど下降りたらまた笑顔貼り付けなきゃって思うと憂鬱で…

コンコン
「聡ー？入っていい？」
「あっ今行くっ」
「うん。せっかくあっためたのに冷めちゃうよ」

慌てて廊下出たら健人くんが待ってた。
「聡、なんかあった？大丈夫？」
「え？何もないっ！平気！ご飯食べてくるねっ」
健人くんのそばにいるとバレそうで、怖くて逃げてご飯食べてた。

怖いよ…不安だよ。それに、本当はあいつの言う通りなんだよ。親殺した人間がノコノコ生きてていいはずないんだよ。俺なんて、生きてちゃダメなんだよ。

結局その日は健人くんが寝かしつけに来てくれて、優しく背中撫でてもらってホッとして寝れた。でも頭の中は負の感情でいっぱい。学校…行きたくないよ。

「聡、おはよ。学校休むなら休んでいいよ」
「え？」
「昨日はすごい辛そうだった。辛いなら休んでいいよ。もう後悔したくないんだ。俺も」

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