captured ページ14
side Ryohei
こっちはこっちで上手く撒いた筈なんだけど、追っ手が血眼になって探し回っている。
物陰に隠れて隙を狙っているんだけれどなぁ…。
「……どうやって…逃げる…？」
舘さんがボソッと呟く。
彼は逃げるという選択肢より戦い慣れているから、蹴散らす事の方が得意そう。
攻撃こそが最大の防御と考える節がある。
だから、退避に対する案を思いつくタイプじゃない。
「うーん、正直、逃げ切れる目処が立っている訳じゃないんだよね。」
「……そっか。なら、バチバチする？」
「いやいや、ふっかから戦う事より逃げる事を優先しろって言われてるし、それは俺的にも無しかな。」
「……そっか。」
舘さんはぽかんとしている。
意外と気楽なのかな？
それとも、空元気とか？
「早く…皆んなに…会いたい。」
「舘さん…。此処で耐えて、二人と落ち合おう。」
「うん。」
しかし、そう上手くはいかなかった。
「見つけたぞ！」
「……バレた。」
「マジかよ。」
俺と舘さんは居場所を掴まれ、見つかってしまった。彼女の部下と思われる男たちが近付いてくる。
「阿部…逃げろ。」
「え？」
「俺たちの頭脳は…逃げるべき…。此処は俺が上手く繋ぐ…。」
「舘さん、でも…！」
「いいから！早くふっかたちと合流して。そして、俺を助けに来て。俺はそれまで耐えられるから。」
「………分かった。絶対、助けに行くから。」
「此処から先は何が何でも通さない！」
舘さんはそう言うと銃を構え、臨戦体勢へ。
まさか、自分を囮にするなんて…。
俺はこんな状況に陥らせた自分が悔しかった。
無念の気持ちでいっぱいだったが、今はとにかく、後ろを振り向かずに精一杯、走った。
舘さんの想いを無駄にする訳にはいかない。
「舘さん…ごめん…っ！」
悔しくて辛くて…。
涙が溢れながら、呼吸が辛くても無我夢中で走った。俺よりも辛いのは舘さんだから…。
・
・
・
「ふっか！めめ！」
発信機を頼りに二人の居場所まで走った。
肺がはち切れそうなくらいに痛かった。
「阿部ちゃん！」
「大丈夫だったんすね…って、あれ…舘さんは…？」
「……ごめん…俺を逃して囮になった。」
経緯を二人に説明した。
二人は当然、驚いていた。
土壇場に俺を助ける為に体を張るなんて愚策だって分かってるけど、どうしようもなかった。
何も思いつかない。
真っ白な俺を救ってくれたのは舘さんなんだ。
「……ごめん、本当に…本当に…ごめん。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 384人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
赤雪(プロフ) - ceruさん» コメントありがとうございます！幼馴染が好きすぎるあまり色々と書きやすいんですよね。そう言ってもらえて嬉しい限りです！マイペースですが、更新頑張りますので宜しくお願いします！ (2月24日 1時) (
レス) id: e2d8ee24ac (このIDを非表示/違反報告)
ceru(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します！赤雪さんの作品の、世界観や展開、それぞれの関係性が凄く好きです！特に幼馴染の2人の関係性がとても好きです。これからも更新楽しみにしています！ (2月23日 20時) (レス) id: c99a8bf9b2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：赤雪
| 作成日時：2023年1月27日 18時
